相続トラブルを防ぐ Trouble

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相続トラブル
が不安です

「遺産の相続」という言葉から、相続人同士でのトラブルについての不安を連想される方も多いのではないかと思います。思わぬ事態を避けるためには、事前にどういった状況や行動が重大な相続トラブルを引き起こしてしまうのか、知っておくことが重要です。ご自身のケースで当てはまる内容があれば、専門家などに相談することも検討してみるとよいでしょう。

相続トラブルについて

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お金が絡んだトラブルというのは普通に生活していても頻繁に耳にするものです。日常生活の中であれば、自分だけが用心して過ごしていればそこまで面倒なトラブルに巻き込まれることは少ないでしょう。しかし遺産相続の場合などはそうともいいきれません。一生の中で何度もないであろう大きな利益を得られる機会に対して、複数の相続人で協議することになれば、それぞれの主張をめぐって対立しあうような状況もなんとなく予想がつくものです。

それまでは良好な関係を保っていた人たちが、いざ相続が始まってみるとその関係が悪化してしまうのであれば、これは本末転倒と言わざるを得ません。遺産を残して亡くなった被相続人の方も、そのような状況は望んではいないはずです。ではどうしたら、こういったトラブルを未然に防ぐことができるのでしょうか?

もちろん最終的な「解決の手段」としての裁判や調停というものは存在します。しかしここではそのような状況まで自体が悪化してしまう前に、各人がどういう立ち振る舞いをすればスムーズに相続手続きを進行できるのか、実際のトラブル事例から学びながら解説していきたいと思います。

相続トラブルの
事例から検証する

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1. 遺産分割の割合によるトラブル

相続人が1人であれば何も問題はありませんが、ほとんどの場合そうはいかないでしょう。出来るだけ多くの利益を得たいと考えるのは、多くの相続人が共通して考えることです。ただこのケースで問題なのは、遺産分割協議などを通じてそれをひときわ強く主張する相続人が出てきた場合です。協議とはいっても全員が一カ所で話し合うというのはなかなかハードルが高いため、説得するのも難しく、そうこうしているうちに相続手続きの期限である「10ヶ月間」も迫ってきます。

このようなケースに限った話ではありませんが、重要なのは「事前に専門家などに相談しておく」ということです。特に残された遺産の価値が大きいほど、前もって対応を検討しておくべきだと思います。というのも、税理士・弁護士・司法書士などは普段から業務の中でこのような問題への対応を行っていますので、専門知識はもちろんのこと、事態を解決するための蓄積されたノウハウを持っているからです。相続人同士で話しても説得できないような場合でも、そこに専門家が加わるだけで事態が好転する可能性もあり得ます。不安を感じた時は、なるべく早い段階で一度相談してみることをお勧めします。

2. 不動産に関するトラブル

土地や不動産が遺産として残されたケースで多いのが、「簡単に分けられない資産」である点や、「その評価をすることが難しい」という点が挙げられます。事例としては、一番多い部類に入るのではないでしょうか。例えば以下のような点がトラブルに発生しやすいポイントとしてあげられます。

現実的な話として、現金と違って均等に分割すること自体が難しい
その価値について、どの程度の評価(金額)とするかがまとまらない
単独で所有したい人、早く売却して現金にしたい人、そこに住み続けたい人などの意見がバラバラ
名義変更などをしたいと考えても、他の相続人からの協力が得られない 

このように、トラブルになりそうな要素が多いことがお分かりいただけるかと思います。

これらの不動産相続に関するトラブルを防ぐためにも、遺産となる不動産が判明した場合にはまずはその価値を正しく把握しましょう。信頼のおける不動産業者などに相談し、その評価や実際に売却を考えた場合の段取りなどをシミュレーションしてもらうのです。それらの材料をもとに分割協議をおこなう方が、より現実的な妥協点を探れます。

3. 寄与分に関するトラブル

次に「寄与分」に関するトラブルのお話です。聞きなれない言葉だと思いますが、相続手続きの世界ではよく使われる言葉です。簡単に説明すると「亡くなった人に対してより多くの貢献をしていた相続人の人には、その分多くの遺産を分配しましょう」というような考え方のことです。

例をあげてみましょう。「亡くなった人が父親で、同じ家に住む息子である長男がその介護を長年にわたって献身的におこなってきた。しかし次男の方は父親と仲が悪く、亡くなるまでほとんど顔も見せなかった」というような状況です。このケースの場合、法定相続分という考え方にしたがって遺産を分割すれば、息子二人の取得分は全く同じ半分づつということになります。でも、それだとなんだか不公平な感じがしますよね。少なくとも長男の方は、長年の介護で支えてきた分を考慮しても良いような気がします。そしてこのような考え方が寄与分です。

(寄与分)

第904条の2 共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者

引用:民法第904条2項

ですが、一言で考慮といってもどの程度が適当なのか、そもそも次男がそれを認めない可能性も考えられます。長男の主張が大げさ過ぎる、ということもあるかもしれません。このように、どちらかの利益が考慮される、その要素が不確定である、という点などがトラブルを招きやすいポイントなのです。

4. 認識していない相続人

このトラブルについては、他のページでも何度かお話したので何となくイメージが付くかなと思います。予想もしていなかったところから別の相続人が登場して、自分たちの受け取り分を主張されるようなケースですね。例えば、「亡くなった人が前妻との間に子供をもうけていて、他の相続人がそれを知らされていなかった」というような場合です。なんとも小説やテレビドラマのような話ですが、実際に起こり得るケースです。知らなかったということは疎遠であったということなので、意思疎通がとれず、折り合いがつかずに審判や調停になってしまうケースもあります。

当事者の相続人としては頭を抱えてしまいそうですが、権利として認められているものですので話合い協議して解決するしかありません。それよりもこの場合の問題なのが、「故人の調査をよくしないまま遺産分割協議に入ってしまうこと」です。このような事態を防ぐためにも、故人の方の戸籍謄本をしっかり確認するなど、よく調査するようにしましょう。隠し子などが事前に判明すれば、相続人全員がそのつもりで協議にのぞめますし、こちらからアプローチすることもできます。

5. 遺言書に関するトラブル

遺言書は「亡くなった方の最後の意思を実現させるもの」です。相続手続きにおいても最も優先されるのは遺産を残した方の意思です。ですので、法的に有効な遺言書が存在する場合には、基本的にその内容に沿った相続がおこなわれます。このこと自体には特に異論はないと思いますが、トラブルとなるケースではその「偏り(かたより)」が問題になります。ようするに、だれか1人を極端に優遇した分配が指示されているような状況ですね。こうなると、他の相続人の人たちは納得がいかないでしょう。

この場合は、まず遺言書自体の法的効力をしっかりと確認しましょう。自宅から見つかった自筆の遺言書であれば、その記述の仕方や漏れがあれば有効な遺言書とは認められません。仮に公正役場に保管されている公正証書の遺言書であるならば、公正役場で制作する際に担当者に相談して決めているはずなので、あまり極端な(将来的なトラブルの元となりそうな)内容の遺言書を用意しているとも考えづらいものです。まずは落ち着いて内容を精査し、どうしても解決できないような場合には、なるべく早く専門家に相談するようにしましょう。

大切な人を失ったあとに、近しい人たちの間でトラブルというのはあまり考えたくないものです。しかし、だからこそ不測の事態に備えて、しっかりと理解しておくべきだとも思います。それがひいてはご自身や身近な人たちの利益の保護につながります。このページの事例などを参考にして、どのようなトラブルが起こり得るのかを一度考えてみましょう。

相続トラブルに関する
Q&A

Q. 兄弟が父親の財産を教えてくれないのですが、どうすれば・・?

兄弟姉妹の一人が親の財産を全て管理していて、その内容についての詳細な情報を教えてくれないというようなケースは実際にあり得ます。ただこの場合、自分も相続人であれば当然その内容を把握して受け取る権利があります。調査をすることも可能です。このようなケースでの一番のポイントは「法的根拠を示して説得する」というところですので、まずは一度専門家に相談することをお勧めします。

Q. 親の面倒をみていたから、多くもらいたいと言われていますが・・

このページでもご紹介した「寄与分」に関するご質問ですね。実際に面倒を見てきた人からすれば、もっともな主張にも聞こえます。ただ現実的に親の面倒を見てきたことは、ルールとしての法定相続分には影響がありません。この寄与分の考慮という主張はあり得るケースなのですが、実際に認められることはあまり多くありません。そういう意味ではご自分の主張をしっかりと協議すれば大丈夫です。もし逆の立場で納得がいかないというような場合は、専門的な主張にも限界があるかと思いますので、専門家を頼るようにしましょう。

Q. 遺産がどこにあるか分かりません

ほとんど交流がなかった親族が亡くなった場合などは、財産が存在するのかどうかも分からないというケースが出てきます。 そのような場合でも、諦める必要はありません。正当な権利があるので遺産の調査をすることが可能です。

Q. 妊娠中の胎児にも相続権はありますか?

はい、妊娠中の胎児にも相続権は存在します。相続の権利についての原則は、「財産を残して亡くなった人が死亡した時点で生きていること」が原則です。この原則を用いるならば、このケースは無効にも思えます。しかしそうではありません。民法の866条で、胎児を「生まれたものとみなす」という規定があるのです。そのためよくいわれる言い方になりますが、胎児については「原則の例外」として相続の権利を有することになります。