相続登記をすると見つかるもの3選

あおば司法書士事務所の司法書士松本です。
やはり、4月1日施行される相続登記の義務化の影響でしょうか、相続登記のご依頼が増えております。
ありがとうございます。

今まで、相続登記(名義変更)を躊躇っていた人もこの機会に重い腰を上げる方もいらっしゃいます。
そこで、相続登記をしたときに見つかるもの3選として紹介したいと思います。

まず、1つ目が、自分のルーツが見つかる。というものです。
相続登記では、亡くなった方(被相続人)の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本を取得いただきます。
昭和10年代の被相続人なら、戦前の戸籍謄本を取り寄せます。

戸籍を読み取っていくなかで、自分のルーツが見つかることもあります。
実は、昔、本籍地が遠方にあって引っ越してきた。とか、
○○家から分家して、いまの家族が出来た。とか
じいちゃんが満州で生まれ育った。とか。
相続登記をしたときに、古い戸籍も手に入ることがありますので、読み解いてみると面白いかもしれません。

 

そして、2つ目が、未登記の建物が見つかる。というものです。
相続登記の際には、名寄帳(なよせちょう と読みます。)を取得していただくことが多いです。
市役所の固定資産税課で取得できますが、そこには被相続人が負担していた固定資産税の一覧が記載されています。

司法書士は名寄帳や固定資産税の課税明細書を頼りに不動産の戸籍謄本(登記情報)を取り寄せて相続登記の準備をしますが、そのときに登記簿が存在していない建物も見つかります。いわゆる、未登記の建物です。(ちなみに未登記の土地というのは見たことありません)
今の新築の居宅であれば未登記ということはほとんどありませんが、昔は、現金で家を建築することも多くあったと思いますので、その時は登記をすることも少なかったを思われます。先祖代々住んでいる家が登記されていない。とうことはかなりの割合であります。
未登記の建物を登記するには、まず、表題登記がされていないので土地家屋調査士さんに依頼して表題登記をしていただく必要があります。
その後、司法書士が保存登記をして権利書(登記識別情報)が出来ます。
家が未登記ということは、権利書がありませんので、売却時や抵当権を設定する際に困ることになりますね。

 

最後に、3つ目が、古い(根)抵当権が見つかる。というものです。
名寄帳を頼りに、司法書士は登記情報を取得し、相続登記をすべき不動産を調査いたします。
調査項目は多々ありますが、登記情報を確認すると、依頼者も知らない抵当権(または根抵当権や賃借権や仮登記・・・)が見つかります。
それが、銀行でいまも承継されているものであれば、今の銀行に問い合わせをすれば抹消することは比較的簡単かもしれません。

ところが、抵当権者が個人であったり、金融機関でも既に解散し清算結了まで行っている場合には、注意が必要です。
通常は、共同申請といって抵当権者と不動産の名義人と共同で申請すればよいのですが、抵当権者が不明だったり存在しない場合には、休眠抵当権の制度で抵当権者が行方不明であれば単独で抹消することもあります。供託や判決が必要になる場合にありますね。
唐津市内でも、古い金融機関として、呼子銀行や松浦信用金庫の抵当権を抹消したことがあります。

以上が、相続登記をすると見つかるもの3選でしたが、最後の2つはできれば見つかって欲しくないものでした。
しかし、問題を先送りにせずに、早めに解決しておくと、次に不動産を承継した相続にとってはありがたいことだと思いますよ。