負動産を手放す相続放棄の管理責任について

負動産(不動産)を手放すには、相続放棄をする方法もある。と前回の記事にてお伝えしました。

最近は、相続放棄についての相談が多いですが、市役所からの固定資産税の通知で相続人になったことを知り、あわてて相談にこられる方もいらっしゃいます。市役所としては、なんとしてでも固定資産税を徴収したいので、相続人が相続放棄をすれば、ほかの相続人を探し出して固定資産税の納付書をいきなり送ってきたりします。何にもしなければ、単純承認とみなされて固定資産税の負担がくる可能性もありますね。通知を受け取って3か月以内に相続放棄をすることをおススメします。

ある事例では、15年以上前に死亡したかたの固定資産税の納付書が死亡した方の兄弟のところに郵送されてきました。

また、ある市役所からの通知には、「相続の放棄をしても、不動産の管理責任がありますよ」との記載がありました。
個人的には脅しに近いひどい記載だと思いました。

改正(相続の放棄をした者による管理)
第九百四十条 相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。

令和3年に民法が改正され、相続放棄をしたものによる管理責任は、「現に占有しているときは」との要件がつきました。
つまり、占有していなければ、放棄した者は、管理責任を問われる可能性は少ないんじゃないかと考えています。

被相続人が兄弟や叔父叔母の場合、知らない不動産の固定資産税の通知が届いたので慌ててて相続放棄をした事例では、実際、放棄をする不動産を占有していることは滅多に無いと思いますので、放棄しても管理責任が問われる可能性はほとんどないと思います。